デヤン・ラツィック
2009年5月27日(水) 19:00開演
全席指定 5,000円
(c)Felix Brode |
デヤン・ラツィック(ピアノ) |
故郷クロアチアの神童と称えられていた頃から変わらないのでしょう、きらきらと宝石のように輝く理知的な大きな瞳が雄弁に物語るデヤン・ラツィック。日本ではチェリスト、ピーター・ウィスペルウェイの相棒として知られていますが、欧米では第一級のヴィルトゥオーゾと称えられています。いよいよ日本でも彼の素晴らしい才能を知っていただける時がやって来ました。プログラムは2008年秋に当ホールを訪れた際、口八丁手八丁、嬉々としてピアノをいじりながら語りながら決めたもの。前半はスカルラッティとバルトークを調性を考慮して配します。これは、「リエゾンス(連結)」という2人の作曲家の作品を彼独自の観点からプログラミングしていくアルバムのプロジェクトにもなっています。そして後半は、自身思い入れを込めて録音したシューベルトの大曲です。ここでは現在の彼の真髄が露わになることでしょう。17世紀バロックから18~19世紀ロマン派、20世紀音楽の世界を詩情豊かに描き出すラツィックのピアノをご堪能ください。
スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K9
:ソナタ ニ長調 K430
:ソナタ ホ長調 K135
バルトーク:「ミクロコスモス」 第6巻 Sz107 BB105より ブルガリア・リズムによる6つの舞曲
スカルラッティ:ソナタ ホ長調 K380
:ソナタ ハ長調 K420
:ソナタ ヘ長調 K82
バルトーク:交響詩 「コッシュート」より 葬送行進曲 Sz21 BB31
:スロヴァキア民謡の旋律による3つのロンド Sz84 BB92
********** 休憩 **********
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D960
(c)Felix Brode |
デヤン・ラツィック(ピアノ) 1977年、クロアチアのザグレブに生まれる。7歳でピアノを、9歳でクラリネットを始め、その1年後には初めての作品を作曲する。旧ユーゴスラビア時代に様々なコンクールでピアノとクラリネットのそれぞれで優勝、クロアチアの神童と称えられる。ハンガリーのピアニスト、ゾルタン・コチシュとイムレ・ローマンによって新たな音楽性の深みを加味したラツィックは、モーツァルテウム音楽院で学ぶためにザルツブルクへ移住する。少年期には、RTL,WDR,RAI,RTBF,ORF等のイタリア、ドイツ、オーストリアの放送局に多くの録音を残し、サンクトペテルブルク・エルミタージュ管弦楽団、ライン・フィルハーモニー管弦楽団、カメラータ・アカデミカ・ザルツブルク等と共演をしている。そして、ウィーンのコンツェルトハウス、アムステルダムのコンセルトへボウなど、ヨーロッパの一流コンサートホールで公演を行い、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、ルーマニア、スロヴァキア、ドイツ、オーストリアなど多くの音楽祭に出演している。1991年、13歳の時、著名なソリスティ・ディ・ザグレブとモーツァルトのクラリネット協奏曲及びピアノ協奏曲K.449を演奏し、初めてのレコーディングを行う。彼は、作曲にも並外れた才能を見せている。クラリネットとヴィオラの為の作品“Conversazione”はたびたび演奏されており、彼の初めての弦楽四重奏曲の作品はベルレブルク城でのロストロポーヴィチ生誕70周年記念ガラ公演の為に作曲された。また、フルート奏者のシャロン・ベザリーやラーク弦楽四重奏団等からも作品を委嘱され、チェリストのピーター・ウィスペルウェイは彼のソロ・チェロのための“シャコンヌ”を初演している。ラツィックは99年以来チャンネル・クラシックスと専属契約を結んでおり、初録音の“モーツァルト回顧”は、彼をまさしく天才的なモーツァルトの解釈者として決定付けた。その後“レトロスペクション”と題してショパン、ラヴェル、ハイドンなどを録音。2007年には新プロジェクト“リエゾンス”がスタート、第一弾にスカルラッティとバルトークを収録。今後のコンサートとしては、日本でのリサイタルを始め、カナダ、アメリカ、ヨーロッパの各都市で予定されている。オーケストラとは、クラシッシェ・フィルハーモニー・ボン、ザルツブルク・モーツァルトテウム管弦楽団(指揮・ユーベル・スダーン)とベートーヴェン協奏曲第2番、ウィーン・フィルの室内オーケストラVienna Virtuosiなどと共演している。08年5月にはロンドン・フィルとラフマニノフ協奏曲第2番をライブ録音予定である。 |