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Concert  コンサート情報

エフゲニー・コロリオフ

2008年318日(水) 19:00開演

全席指定 5,000


エフゲニー・コロリオフ(ピアノ)

偉大な作曲家リゲティが「無人島の一枚」に選んだエフゲニー・コロリオフが、いよいよ待望の初来日を果たします。モスクワで生まれ、若い頃より様々なコンクールでも認められていたコロリオフは、結婚して旧ユーゴスラビアへの移住を決断したことにより、ロシアでの将来を嘱望された活動の中断を余儀なくされます。その後ドイツに渡った彼は、それまでの空白を埋めるかのようにヨーロッパで盛んに演奏活動を展開。来日も待たれていました。今回の満を持しての日本初リサイタルは、広大なレパートリーの中でも熱狂的な支持を受けているバッハのゴルトベルク変奏曲を披露します。強靭で粉飾のない明晰な打鍵が、ひとりひとりの心を打ちます。

 

もし無人島に何かひとつだけ携えていくことが許されるなら、私はコロリオフのバッハを選ぶ。飢えや渇きによる死を忘れ去るために、私はそれを最後の瞬間まで聴いているだろう。

――ジェルジ・リゲティ

プログラム

J.S. バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988

プロフィール

エフゲニー・コロリオフ(ピアノ)

1949年モスクワ生まれ。中央音楽学校でアンナ・アルトボレフスカヤに師事し、ハインリヒ・ノイハウス、マリア・ジュディナのレッスンも受け、その後チャイコフスキー音楽院に進学してレフ・オボーリンやレフ・ナウモフのもとで研鑽を積む。優秀な成績で卒業し同音楽院に指導者として迎えられたが、76年に結婚し旧ユーゴスラビアへ移住。ロシアでの活動は中断され、2年後にハンブルクで教授の職に就いた。コロリオフは大学在学中および卒業後にいくつもの国際コンクールで輝かしい賞を獲得。68年のライプツィヒ・バッハ・コンクールや73年のヴァン・クライバーン・コンクールなどで優秀な成績を収め、77年にはクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝、東西ヨーロッパ、カナダおよびアメリカなどの多くの国で演奏の機会を得た。レパートリーは古典派からロマン派、現代音楽にまで及ぶが、とりわけJ.S.バッハの作品には常に強い興味を持ち、17歳の時にモスクワで平均律クラヴィーア曲集の全曲演奏会を行った。それ以降、特にゴルトベルク変奏曲、フーガの技法、平均律クラヴィーア曲集によるシリーズのリサイタルをたびたび開催。これまでにシュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭、モントルー音楽祭、国際シュトゥットガルト・バッハターゲ、グロニンゲン・グレン・グールド音楽祭、ドゥシニキ・ショパン音楽祭、「ブダペスト春の音楽祭」、トリノ・セッテンブレ音楽祭などの重要な音楽祭で演奏している。またケルン・フィルハーモニー、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス、ベルリン・コンツェルトハウス、ミュンヘン・ヘルクレスザールなどの主要ホールをはじめ、多くの国のさまざまなホールで演奏している。室内楽奏者としてはナターリャ・グートマン、ミッシャ・マイスキーなどとも共演した。彼の最初のCDとして90年にリリースされた「フーガの技法」(TACET)が、重要な録音だと評価されたことは驚くべきことではない。作曲家のジェルジ・リゲティはグラモフォン誌(2000年1月号)で「もし無人島に何かひとつだけ携えていくことが許されるなら、私はコロリオフのバッハを選ぶ。飢えや渇きによる死を忘れ去るために、私はそれを最後の瞬間まで聴いているだろう。」とコメントし、このCDは同誌のエディターズ・チョイスに選ばれた。その後、92年にはチャイコフスキーの「四季」とプロコフィエフのソナタ選集が、95年にはシューベルトの作品集が相次いでリリースされた。99年にはJ.S.バッハの鍵盤作品集2枚と「インヴェンションとシンフォニア」に続いて「ゴルトベルク変奏曲」を、バッハ・イヤーとなった00年(没後250年)には、「平均律クラヴィーア曲集第1巻」をリリースした。それらはすべて"シュピーゲル""ピアノ・ニュース""ル・モンド・デ・ラ・ムジーク"などの各誌で熱狂的な支持を獲得し、「ゴルトベルク変奏曲」は99 年11月のディアパソン・ドールで第1位を獲得した。多くの評論家は、コロリオフが手がけたバッハのCDが、バッハ・イヤーにリリースされたすべてのCDの中でも特に傑出しており最も重要な歴史的名盤に比肩している、と評している。また02年の秋には「平均律クラヴィーア曲集第2巻」がTACETからリリースされ、ベートーヴェンの「ディアベリ変奏曲」とウェーベルンやヘンデルの作品を集めたものと、プロコフィエフのソナタ選集をヘッセン放送とレコーディングした。今後はリュプカ・ハジ=ゲオルギエヴァとの共演で、シューベルトの「グラン・デュオ ハ長調」をTACETからリリースする予定。08年6月には、ライプツィヒのバッハ音楽祭で「ゴルトベルク変奏曲」を演奏する。