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Concert  コンサート情報

World Chamber Music 音の世界遺産 #2
チトラヴィーナ・ラヴィキラン

2007年720日(金) 19:00開演

全席指定 6,000


チトラヴィーナ・ラヴィキラン(チトラヴィーナ)
ティルヴァールール・バクタヴァトサラム(ムリダンガム)
カールティック(ガタム)

 音の世界遺産、ワールド・チェンバー・ミュージック第2回は、南インド古典音楽のチトラヴィーナです。2千年の歴史を持つ世界で最も古い弦楽器の1つといえるでしょう。フレットのあるサラスワティ・ヴィーナの前身に当たりますが、弦をスライドさせて微分音程を作り出すという点で、声楽に最も近い楽器です。その分習得が難しく、あまり知られていませんでした。先年南インドから無形世界遺産に選ばれたサンスクリット舞踊劇のクーリヤッタムが千年ですから、まさにインド最古の響きを伝えるものと言えるのではないでしょうか。
 1920年代から30年代にかけての録音黎明期にも、素晴らしい作品が残されています。その1人がラヴィキランの祖父、ゴットゥヴァーディヤム・ナーラーヤナ・アイヤンガール。ゴットゥヴァーディヤムというのはこの楽器の別名で、チトラヴィーナの名はラヴィキランが復活させたものです。2歳の時、すでに多くのラーガ(旋法)やターラ(拍節)を聴き分け、5歳にしてデビュー。【インドのモーツァルト】の称号も決して大げさなものではありません。CDの世界デビューも20歳になるかならないかという、まさに天才。1967年生まれですから、今が一番の旬。ある意味、官能に委せて音楽を創りあげる北インドと違って、厳密な規格のなかで、豊かな即興性を求められる南インド古典音楽では、心身共に強力でなければならないのです。
 同時に、ラヴィ・シャンカルに代表される革新的音楽家の例に漏れず、古典を時代に即した現代作品として創り出すという条件もクリア。2001年のワールド・ミュージック、ニュー・エイジ部門受賞という経歴もその延長でしょう。
 遥か昔から培われてきた南インドの響きが、銀座王子ホールという器と、どのような【楽響】を生み出すか。ぜひ皆様の耳でお確かめください。

――音の世界遺産監修・星川京児

プログラム

<南インド古典音楽に基づくラーガとターラによる伝承曲および即興曲>

ヴァルナム
ターナムとクリティ
アーラーパナ、ターナム、クリティ
アーラーパナ、ターナム、クリティ
またはパッラヴィ
ジャ-ヴァリ
ティッラーナー

プロフィール

チトラヴィーナ・ラヴィキラン(チトラヴィーナ)

1967年2月12日生まれの40歳。祖父に伝説的なゴットゥヴァーディヤム・ナーラーヤナ・アイヤンガールを,父にチトラヴィーナ・ナラシムハンという音楽ファミリーに生まれる。幼少より英才教育を受け、2歳にして多様な南インド古典音楽を聞き分け、マドラス音楽アカデミーから以後数年間毎月奨学金を与えられたという神童ぶりを発揮。初ステージは5歳。変声期を迎える10歳頃から代々伝わるチトラヴィーナに転向し、演奏家としても名声を博す。インドの占星術紙に伝説の祖父の再来と折り紙を付けられ、ほとんど演奏家のいなかったこの楽器に脚光を当てる。以後再び声楽を含めた南インド古典(カルナータカ)音楽にも造詣を深めて、声楽家、作曲家としても評価が高い。カルナータカの伝統だけでなく、クラシックや世界各地の音楽にもアプローチをして、その音楽性を広げている。ラーガム・ターナム・パッラヴィのようなグランド・ソナタ的大作から、舞踊やアンサンブルのための小品までレパートリーも幅広い。ワールド・ミュージック的展開としてはブルース・マン、タージマハルやフレーム・ドラムのグレン・ヴェレッツなど大物と共演。使用楽器のチトラヴィーナはスライドならではの滑らかな装飾やメロディが魅力。楽器、演奏家共に初来日。まさに世界の室内楽、音の世界遺産にふさわしいアーティストである。

ティルヴァールール・バクタヴァトサラム(ムリダンガム)

過去20年間ティルヴァールール・バクタヴァトサラムは、カルナティック音楽のフィールドで最高のムリダンガム奏者の地位を確立している。彼の演奏の特徴は、抜け目のない美しいメロディーや器用で素晴らしいストロークといった卓越した演奏技術にある。バクタヴァトサルはティルヴァールール・クリシュナムールティに師事し、またM.L.ヴァサンタクマーリやマハーラージャプラム・サンターナムといった有名なアーティストに指導を受ける。バクタヴァトサルは世界中を旅し、トップクラスのアーティストと見事な共演を果たしている。彼はまた、沢山の生徒も教えており、インドのタミルナードゥ州政府より権威あるカライマーマニ賞を含む様々な賞や称号を受けている。

カールティック(ガタム)

多才な芸能人としてカールティックは、その魔法の壺を手に、様々な名のあるコンサート会場で演奏すべく世界中を旅している。彼は実に引く手あまたで、有名芸能人の舞台にはほとんど必ずといっていいほど、参加している。また、カールティックはパーカッションをベースとしたインドのアンサンブル『TheArtbeat』を率い、これもまた行く先々で高い評判を得ている。伝統的なインドの古典音楽や、ジャズやフュージョンなど様々な形式で演奏し、また、海外のアーチストのコラボレーションも多い。幾つかのインド映画の中で演奏したこともある。さらに、彼はわかりやすい講演とデモンストレーションやワークショップも行っている。実に多くの奨学金、フェローシップ、数々の賞を受けており、献血などの人道的活動にも多く関わり、慈善事業団体の支援も行っている。