ウラディーミル・フェルツマン
2005年4月26日(火) 19:00開演
全席指定 6,000円
ウラディーミル・フェルツマン(ピアノ) |
「ソ連最後のヴィルトゥオーゾ」の名をほしいままにした男、ウラディーミル・フェルツマン。1987年のアメリカ移住時にセンセーショナルな話題を提供し、一 躍時の人となったが、ある時を境に第一線を退き、国際ピアノ・コンクールの審査員として時おり名前を見つける程度で、彼の動向は日本に入ってこなくなっ た。しかし20年近い歳月は、彼をさらに幅広さと奥深さを兼ね備え、心からの響きをダイレクトに聴き手に伝えることのできる巨匠の域へと押し上げていた。 2001年メキシコのマイナー・レーベルURTEXTからリリースされたショパンの「夜想曲全集」が音楽愛好家の中で注目を浴びたのである。ソニー時代 の、プロコフィエフ、ラフマニノフの、あの目覚ましい録音を覚えている方は、一聴、「彼は変貌したのか」と思うに違いない。硬質で、どこまでも濁らないピ アニズムはさらに研ぎすまされた形で健在だが、左手の伴奏よりも少し浮かび上がらせた旋律線を愛おしむように、時にテンポを揺らし、19世紀生まれの大巨 匠がやるような即興性にあふれた音楽を聴かせるのだ。内面から沸き起こる感興に忠実な演奏と言ったらよいだろうか。澄み切った響きと自由闊達な即興性の豊 かな結合が、今を生きる「音楽」を浮き上がらせる。まさに巨匠の技である。今回は、彼のライフワークともいえるバッハと、得意のショパンをプログラミング、至高の新境地を、まざまざと見せつけ てくれるに違いない。
J.S.バッハ:パルティータ 第1番 変ロ長調 BWV825
:パルティータ 第2番 ハ短調 BWV826
********** 休憩 **********
ショパン:4つのバラード
第1番 ト短調 Op.23
第2番 ヘ長調 Op.38
第3番 変イ長調 Op.47
第4番 ヘ短調 Op.52
ウラディーミル・フェルツマン(ピアノ) 1952年、モスクワ生まれ。11歳でモスクワ・フィルハーモニックと共演しデビュー。69年にモスクワ音楽院入学し、ヤーコフ・フリエール教授のもとで 学ぶ。71年、19歳でロン=ティボー・コンクール優勝。79年、出国ビザの申請がきっかけでソ連政府により公の場での演奏活動を禁じられてしまう。出国 が許可されたのはその8年後、87年のことであった。移住先はアメリカ合衆国。フェルツマンはホワイト・ハウスであたたかい歓迎を受け、冷戦の犠牲者の象 徴としてマスコミに取り上げられ、一躍時の人となった。その後はソニーからアルバムをリリースし、欧米の主要なオーケストラと共演。01年にはゲルギエ フ&キーロフ管弦楽団とカーネギーホールでラフマニノフ「パガニーニ狂詩曲」で共演、03年にはラヴィニア音楽祭に3年連続で出演しバッハ・プロを演奏す るなど活躍している。レパートリーはバロックから20世紀の作曲家まで幅広く、特にバッハに献身的に取り組んでいる。録音は一時途絶えていたが、メキシコ のURTEXTレーベルからショパンの夜想曲全集ほかをリリース(日本ではカメラータ・レーベル)注目を集めている。現在ニューヨーク州立大学ピアノ科教 授。マネス音楽院でも教鞭をとる。 |