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Concert  コンサート情報

World Chamber Music 音の世界遺産 #1
ジェリ・ムサ・ジャワラ

2006年210日(金) 19:00開演

全席指定 6,000


ジェリ・ムサ・ジャワラ(コラ、歌)
ゲスト:ニャマ・カンテ(歌、踊り)

「World Chamber Music 音の世界遺産」は、世界各地の伝統芸術音楽のなかで、古典(クラシック)と呼ぶに相応しい音楽を選んで提供する新シリーズ。2006年2月の第1回公演では、西アフリカの伝統楽器コラの名手で、パリを拠点に活躍するジェリ・ムサ・ジャワラによる弾き語りをお楽しみいただきます。コラは、形状はリュート、弾き方はハープ、音色は日本の琴に似ており、西アフリカで数百年にわたり民族の記憶を伝承してきた語り部「グリオ」が伝統的に使用してきた楽器。西洋の12音階には当てはまらない音階で奏されるコラの音色は、 繊細で美しく澄んでおり、それでいて力強いビートを生み出す独特の魅力があります。 今回は、西アフリカ、マンディング族の純粋な伝統音楽からはじまり、アラブ音楽やフラメンコ、ジャズ、ブルースのテイストを混ぜた曲、またジェリ・ムサ・ジャワラのオリジナル曲まで多彩な曲を披露します。ゲストに女性グリオのニャマ・カンテが歌と躍りで参加します。

 

世界には様々な音楽文化がありますが、私たちが耳にするのはそのほんの一部にすぎません。世界最古の音楽民族としてエジプト古代王朝やギリシアにまでその名を知られたコイ、サンと呼ばれるアフリカ先住民。いまもその驚異的なポリフォニーは世界中から愛されています。あまりに繊細な微分音程を持っているために、平均律のメロディが単調に聴こえるというインド・中東音楽。万華鏡のような輝きを持つヴェトナムの絲。悠久の音の循環を感じさせるインドネシアのゴング。自然と一体となって初めてその真価を発揮するタイガやツンドラの森の響き。世界には、驚きと感動に満ちた音楽があふれているのです。
  サハラ以南、ブラック・アフリカを代表する音楽といえば、まずグリオでしょう。
彼らの社会は歴史的に文字を持ちませんでした。そのために歴史や神話、様々な知恵を歌にして伝えてゆくという人たちが必要とされてきました。この伝統は今も生きていて、日常的な結婚や出産から、かつての栄光を伝える英雄譚まで様々なレパートリーを演奏し、歌い上げているのです。
  西アフリカだけでなく広く世界に散らばって活躍を始めた語り部たちグリオ。彼らが演奏するコラは、瓢箪に立てた棹の両側に21本の弦を張った世界でも珍しいハープリュート族の撥弦楽器ですが、まさにその名に相応しく、ハープの優雅さとギター族ならではの躍動感を併せ持つ魅力的な楽器です。そして、数多いコラ奏者の中でも筆頭に位置するのが、ギニア出身のジェリ・ムサ・ジャワラ。一族に伝えられた伝統的なレパートリーはもとより、ジャズやロックなどジャンルを超越したヴィルトーゾです。それもそのはず、彼の異父兄弟はワールド・ミュージック界の大物、モリ・カンテなのですから。
  これまでエレクトリック・サウンドの一部として紹介されることの多かったコラを、王子ホールという優れてアコースティックな空間で聴くことの喜び。長い伝統に培われてきた珠玉の音色とテクニック。ぜひ体感してみてください。きっとあなたの音の世界遺産になるはずです。

――音の世界遺産監修・星川京児

プログラム

プログラム未定

プロフィール

ジェリ・ムサ・ジャワラ(コラ、歌)

ギニア出身、パリ在住のコラ奏者。サリフ・ケイタらとともにアフリカを代表してワールド・ミュージック・シーンを牽引したモリ・カンテの異父弟にあたるグリオ。ギニアのカンカンに生をうけ、コート・ジヴォワールのアビジャンに移り住み、そこでモリ・カンテの影響でコラを弾きはじめる。その後パリに移り、他のワールド・ミュージック期のアフリカ人ミュージシャンたちが失速する中、現在でもコンスタントな活動を続けている。モリ・カンテがコンピューター・サウンドに突っ走ったのとは反対に、彼は一貫してアコースティック・サウンドにこだわり、<Sobindo> (Melodie66966-2)、<FlamenKora> (Melodie 66999-2)などのコラの弾き語りのアルバムを出しているほか、アメリカの女性ジャズ・シンガーde Rosaと共演した<afroblues> (wea WE833)、ギタリストBob Brozmanと共演の<Ocean Blues> (Melodie67022-2)といったクロスオーバー・アルバムも出している。最近では、ピアノのアブドゥライ・ジャバテ、パーカッションのムサ・シソコとマンデ・ジャズ・トリオを組み、<Kora Jazz Trio> (Melodie67048-2)をリリース。基本的には彼はコラの弾き語りが得意。ギニア系のグリオでは、最高のアコースティック・サウンドを聴かせてくれる。

ニャマ・カンテ(歌、踊り)

日本在住。ギニア生まれ、コート・ジヴォワールのアビジャン育ち。 1989年、アビジャンのミュージカル劇団<コテバ>に入団して、ダンサー、役者、歌手として活動する。92年、コテバのメンバーから若い女性を3人選んだ歌手グループ「レ・ゴー Les GO du Koteba」に参加、コート・ジヴォワールの人気バンドとなる。その後、日本人と結婚し来日、日本でライブ活動を行う他、ダンス教室などでもアフリカ文化を広めている。