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Concert  コンサート情報

エスペリオンXXI (ヴァン・テ・アン)

2005年930日(金) 19:00開演

全席指定 6,000

ジョルディ・サヴァール (ヴィオラ・ダ・ガンバ/ヴィオール)
モンセラート・フィゲーラス(ソプラノ)
アリアンナ・サヴァール (ヴォーカル/トリプル・ハープ)
フェラン・サヴァール (ヴォーカル/テオルボ)
ペドロ・エステバン(パーカッション)
バロック期のスペイン/ラテン音楽の演奏では右に出るものがない、とまで言われるエスペリオンXXI(ヴァン・テ・アン)。今回のコンサートでは家族4 人+『仲良しのおじさん』というファミリー・アンサンブルで、時代を超えた音楽の旅に我々をいざなってくれます。若き歌姫アリアンナのオリジナル曲や息子 フェランの即興演奏も聴きどころ。家族ならではの親密なステージングは、音楽を共有する喜びを伝えてくれることでしょう。
プログラム

古きエスペリアとオリエントの伝統音楽
○マルティン・コダス(12世紀):「7つの恋の歌」より 愛することをどこまでわかっているか
○アフガニスタンの伝統音楽:ナスタラン (器楽演奏)
○ロードス島の伝統音楽 (セファルディの歌):美しい乙女よ眠れ
○モロッコの伝統音楽:ガザリ・タル・ジャリ (器楽演奏)
○ギリシャの伝統音楽:アポセノ・ネロス

フォリアとロマネスカ
○ディエゴ・オルティス:ロマネスカとパッサメッツォ・モデルノ (マリアの歌)
○アリアンナ・サヴァール:ラ・サルヴェ (聖母マリア賛美の和唱)

詩と音楽
○ブルターニュの伝統音楽:グウェルス (哀歌 器楽合奏)
○カタルーニャの伝統音楽:盗賊の歌
○即興演奏:カナリオス (器楽合奏)
○カタルーニャの伝統音楽:鳥の歌
○タルクィーニオ・メルーラ:君に捧げる歌

人の声
○アリアンナ・サヴァール:愛 (Miquel Marti i Pol作詞)
○マラン・マレ:人の声
○イスラエル民謡:ヘブライの子守歌

オスティナートを伴う即興演奏 (歌曲と舞曲)
○ルカス・デ・リバヤス:タランテラ (ハープとパーカッションによる即興演奏)
○フェラン・サヴァール:即興演奏 (歌とテオルボ)
○アントニオ・マルティン・イ・コル:スペインのフォリア
○タルクィーニオ・メルーラ:チャコーナのアリア 「恋のリラにのせて」

 

ジョルディ・サヴァールによるプログラム・ノート

時代と瞬間

「デュ・タン&ドゥ・ランスタン」(時代と瞬間) は、その優しさと美しさで、また対話と調和の力で私たちの心に触れる音楽の大変個人的なチョイスをご紹介します。

かつての音楽のおかげで今日演奏されている「時代の」音楽は、時にはとても遠く同時に大変近い過去の生きた記憶です。それ は私たちの歴史的で個人的な想像力の一部になっているからです。「瞬間の」音楽は、ただ一度だけの束の間の音楽をすべて含みます。音楽の表現が自由に調和 を持って花開いた時に、常に新しい表現を求めてその場で湧き起こる音楽をすべて含むのです。

音楽は素晴らしい記憶の芸術です。音楽は、歌声や楽器によって作られた音波によって具体化された、その瞬間にしか存在しな いからです。同時に、この限界は音楽を最も人間的で最も精神的な芸術にします。つまり、音楽は最も普遍的な表現とコミュニケーションの手段の一つなので す。その重要さと意味は、歴史と進歩の観念の中の言語の発達基準によって規定されるのではなく、表現力の密度や内部の豊かさ、人間性によって決められま す。この観点から見ると、芸術作品の歴史的な意味は、メロディーやハーモニー、リズム、音色などの音楽素材の必然的な発達によるのではなく、それを提供す る作曲家や演奏者
の表現意欲によって評価されます。

「デュ・タン&ドゥ・ランスタン」(時代と瞬間) プログラムは、以下のような異なった文化の間に本当の架け橋を渡し示すための対話として考えられました。

東洋と西洋の音楽の間、
学術的な作品と口頭伝承による大衆的な作品の間、
古代と現代の音楽の間、
世代の違う演奏者の間、
そして演奏者と聴衆の間。

私たち音楽家は何より時代の産物です。もっと正確に言うと、一人一人の個性と私たちが生きている時代固有の精神との間の独 自のバランスの結果なのです。二十一世紀の始まりに十一世紀まで遡るレパートリーを取り扱うことにしたのは、何より、職業意識と情熱が合い混ざった内部の 必要性を感じ取ったからです。そして、過去の最も代表的な作品を学び、異なった歴史的背景や様式を尊重しつつも伝統的形式主義のすべてを除いて、現代に蘇 らせることは、私たちの文明の本源を再発見する本質的な方法になります。異なった文化や伝統の間の対話を通じて、即興演奏や実験のクリエイティブな場を更 新することは、また、私たちの心の中に絶えずこうして作られたすべての素晴らしい音楽のための場を設けることです。現代に、基本的で本質的な人間的文明の 一つが開花するように貢献しなければなりません。音楽、それは人類の真の生きた歴史と考えることができます。

2005 年春、カルドナにて
ジョルディ・サヴァール

翻訳 井本晶子

プロフィール

ジョルディ・サヴァール

モンセラート・フィゲーラス

 


アリアンナ・サヴァール


フェラン・サヴァール


ペドロ・エステバン
 

エスペリオンXXI(ヴァン・テ・アン)

エスペリオンXXI(ヴァン・テ・アン)は、ヴィオラ・ダ・ガンバの名手ジョルディ・サヴァールとソプラノ歌手モンセラート・フィゲーラスの夫婦を 中心とする古楽アンサンブル。「エスペリオン」はギリシャ語で「西方」を、ラテン語ではイタリア及びイベリア半島を意味した言葉Hesperiaに由来。「XXI」は21世紀を意味している。

サヴァール=フィゲーラス夫妻は1974年、最新の研究成果をふまえて18世紀以前のスペイン他ヨーロッパ音楽を再評 価することを目的としてエスペリオンXX(ヴァン)を結成。その後、87年に合唱中心のグループであるレ・カペーリャ・レイアル・デ・カタルーニャを、 89年に管弦楽団ル・コンセール・デ・ナシオンを結成し、活動の中心をバルセロナに移転。XXIと改名した現在に至るまで、活発な演奏活動を通じてバロッ ク期のスペインおよびラテン系諸国の声楽、器楽作品を新鮮な解釈のもとに呈示しつづけている。