モディリアーニ弦楽四重奏団 with アダム・ラルーム
~シューマン・プロジェクト 1842~ 第1日、第2日
2016年
9月22日(木・祝) 15:00開演
9月23日(金) 19:00開演
全席指定 各日5,500円、2公演セット券10,000円
※2公演セット券は王子ホールチケットセンター電話予約のみ取り扱い
フィリップ・ベルナール(ヴァイオリン)
ギョーム・シュートル(ヴァイオリン)
ロイック・リョー(ヴァイオリン)
ローラン・マルフェング(ヴィオラ)
フランソワ・キエフェル(チェロ)
アダム・ラルーム(ピアノ)
※第1ヴァイオリンを務めるフィリップ・ベルナールが、肩のコンディション不良のためしばらく演奏を休止することとなり、今回の来日が不可能となりました。代わってトリオ・ヴァンダラー創立メンバーであり、イザイ弦楽四重奏団で長期にわたり活躍したギョーム・シュートルが出演します。出演者はすでにパリにて準備を重ねております。ご理解賜りますようお願い申し上げます。ご希望の方にはチケットの払い戻しをいたします。
【日本の聴衆の皆様へ 】
私たちの第一ヴァイオリン奏者であるフィリップ・ベルナールは肩の健康状態の問題から、数週間の間ヴァイオリンを演奏することを避けなくてはいけない事態となりました。しかしながら日本の大事なコンサートに、ギョーム・シュートルという素晴らしいヴァイオリン奏者を迎えて共に演奏できることを光栄に思います。彼は偉大なイザイ弦楽四重奏団の第一ヴァイオリン奏者を15年にわたって務め、今回のプログラムでも数多い経験を持っています。この“シューマン・プロジェクト”は私たちにとっても特別なものでしたので、これらのレパートリーをすべてイザイ弦楽四重奏団として録音を行ってきた、いわばシューマンのスペシャリストとも言うべきギョームと共演できることはとても幸運なことだと感じています。
イザイ弦楽四重奏団は私たちの最初の師であり、その第一ヴァイオリン奏者と共に日本ツアーをお届けできることは大きな喜びです。
フィリップの一日も早い回復を祈るとともに、皆様が私たちのコンサートを楽しんでくださることを願ってやみません。
深い親愛を込めて。
モディリアーニ弦楽四重奏団
新世代のモディリアーニ弦楽四重奏団によるシューマン・プロジェクト。2015年11月にフランスもの3本立てで颯爽と王子ホールにデビューした彼らは、弦楽四重奏というジャンルを入りにくい高尚な世界ではなく、個々が愛する音楽に出会う世界と考えています。そんな等身大の彼らが、今の、これからの室内楽の姿をお見せしたい、という熱い思いを持って臨む2日間です。音楽で深い精神世界を表出したシューマンの、室内楽の豊穣の時となった1842年に焦点を当てて、弦楽四重奏からピアノ四重奏、ピアノ五重奏まで、室内楽で抜群のセンスを発揮する同世代のピアニスト、アダム・ラルームと共に音楽の泉を探索します。どうぞおつき合いください。
ロベルト・シューマン:
<第1日>9/22
弦楽四重奏曲 第1番 イ短調 Op.41-1
弦楽四重奏曲 第2番 ヘ長調 Op.41-2
********** 休憩 **********
ピアノ四重奏曲 変ホ長調 Op.47
<第2日>9/23
弦楽四重奏曲 第3番 イ長調 Op.41-3
********** 休憩 **********
ピアノ五重奏曲 変ホ長調 Op.44
-------------------- -------------------- -------------------
【コンサート評】
シューマンの弦楽四重奏曲を聴く喜ばしい機会
Colin Clarke (Seen and Heard International)
2016年5月16日
イギリス/ウィグモアホール(ロンドン)
モディリアーニ弦楽四重奏団
・シューマン:弦楽四重奏曲 イ短調 作品41-1(1842)
・シューマン:弦楽四重奏曲 ヘ長調 作品41-2(1842)
シューマンが残した一連の美しい室内楽作品は、もっと頻繁に演奏されるべきである。今回、このジャンルにおける彼の2つの代表作の延長として、さらに作品41-3のアダージョ楽章がアンコールで取り上げられたのは喜ばしいことである。しかし何よりもメイン・プログラムの演奏を通して、シューマンの弦楽四重奏曲の重要性を再確認させられた。
まずイ短調の作品41-1では、華麗な対位法による序奏が見事につむがれた(そして2つのヴァイオリン・パートの掛け合いは、ヴィオラとチェロの多声的な対話に受け継がれた。)モディリアーニ弦楽四重奏団の演奏は穏やかで抒情的であり、そこでは音のテクスチュアの均衡が入念に保たれている――テクスチュアは幾度もまばゆく輝き、厳格な気質と抒情的な気質のあいだのバランスも巧みに制御されていた。アダージョ楽章では、終始、素晴らしい演奏が披露された。この楽章の冒頭のチェロ・パートは、フランソワ・キエフェルによって滑らかに歌われ、その後にベートーヴェンの交響曲第9番の緩徐楽章を想起させるテーマがあらわれた。続くキエフェルのカンタービレは実に感動的で、ヴィオラのローラン・マルフェングによる、日常を崇高な次元へと昇華させる弱拍による伴奏にも心動かされた。苦悩にさいなまれた身振りによって開始する熱烈なフィナーレはエネルギーに満ち、作品の中ですでにほのめかされていた低音の持続が、ここで確固とした姿を得ることになった。
一変して、作品41-2は長調である。冒頭のあたたかなサウンドが、筆舌に尽くせぬ優しさを宿す別世界へと私たちをいざない、時にレントラーが顔をあらわす。この作品においては、第2楽章が緩徐楽章として設定されており(アンダンテ、クァジ・ヴァリアツィオーニ)、ピアニシモが完璧にコントロールされるとどれほど魅惑的であるのかが示された。ゆったりとした流動性、交替する影、この作品が描きだす美しい光景からは、このうえない安心感を与えられた。波乱の第4楽章(アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ)にはゆるぎない品格が備わっていた。アンコールは実に美しく、表情と熱情にあふれていた。(提供:KAJIMOTO)
モディリアーニ弦楽四重奏団 2003年に4人の親友たちによって結成され、わずか1年後の04年、アイントホーフェン(オランダ)のフリッツ・フィリップス弦楽四重奏コンクールに優勝。続く05年にはフィレンツェのヴィットリオ・リムボッティ国際弦楽四重奏コンクール優勝、06年にはニューヨークのヤング・コンサート・アーティスツ国際オーディションで優勝した。イザイ四重奏団、W.レヴィン、G.クルタークのもとで学んだ他、ベルリン芸術大学にてアルテミス弦楽四重奏団の指導を受けた。世界の名だたるホールで活躍を重ねており、ウィグモア・ホール、カーネギー・ホール、シャンゼリゼ劇場、シテ・ド・ラ・ムジーク、アムステルダムのコンセルトヘボウ、ウィーン楽友協会、ザルツブルク・モーツァルテウム、チューリヒ・トーン・ハレ、フェニーチェ劇場のほか、ルツェルン、シュヴェツィンゲン、ラインガウ、キッシンゲンの夏、シューベルティアーデなどの音楽祭などに招かれている。15/16年シーズンの主な活動としては、ウィグモアホール、カーネギー・ホール、シャンゼリゼ劇場、シテ・ド・ラ・ムジーク、コンセルトヘボウなどを再び訪れ、また秋には日本のほかにオーストラリア、アメリカでのツアーを行った。14年エヴィアン国際音楽祭の音楽監督に就任。00年までロストロポーヴィチが率い、そののち開催が途絶えていたこの音楽祭にエヴィアン・リゾートとの協力で新たな生命を吹き込み、初年度となった14年は継続的発展を予感させる大成功を収めた。08年よりミラーレ・レーベルとのレコーディングを開始、これまでにリリースされた7つのCDはいずれも各国で高評を得ている。企業や個人のサポートによりイタリアの名器を与えられ、ベルナールは1780年製G.B.ガダニーニ、リョーは1734年製ガリアーノ、マルフェングは1660年製マリアーニ、キエフェルは1706年製ゴフリラー「ヴァールブルク」を使用している。 オフィシャルHP: http://www.modiglianiquartet.com |
|
(c)Carole Bellaiche | アダム・ラルーム(ピアノ) 2009年クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクール優勝して以来注目を集めている期待の若手ピアニスト。トゥールーズ音楽院で学んだのち、15歳でパリ国立音楽院に入学。ミシェル・ベロフ、ドニ・パスカル、エリック・ル・サージュのクラスで学ぶ。また室内楽をクレール・デゼール、アミ・フラメールに師事。現在はハンブルクにて研鑽を積んでいる。サン・ジャン・ド・リュズ、ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ、メレ農場、ピアノ・オ・ジャコバンなどフランスの名高い音楽祭で演奏を重ね、09年にはヴェルビエ音楽祭にてシュトゥットガルト放送交響楽団と共演し好評を博した。 |
(c)Tammy Horton |
ギョーム・シュートル(ヴァイオリン) 弱冠18歳でナポリのアルベルト・クルチ国際ヴァイオリン・コンクール、ミュンヘン国際音楽コンクールのピアノ三重奏部門、アメリカのフィッシュオフ室内楽コンクールという3つの権威あるコンクールで優勝。早くから室内楽に興味を持ち、1986年にトリオ・ヴァンダラーを結成。10年後には、イザイ弦楽四重奏団の第1ヴァイオリン奏者となり、2014年にパリで行われた解散コンサートまで精力的に活動した。彼の幅広い室内楽レパートリーは500を越え、ベートーヴェン、ブラームス、シューマンの室内楽曲のすべてはもちろんのこと、68作品におよぶハイドンの四重奏曲も全曲網羅している。妻でありハープ奏者であるキョンヘ・キム=シュートルとはヴァイオリンとハープのデュオを組んでおり、エリック・タンギ、デイヴィッド・レフコヴィッツ、ポール・ヨン・リーといった作曲家から度々新曲を委嘱されている。室内楽のみならずソリストとしても活躍し、これまでにシンフォニア・ヴァルソヴィア、ベルリン放送交響楽団、ゲッティンゲン交響楽団、フランツ・リスト室内管弦楽団などや、指揮者では、ユーディ・メニューイン、シュテファン・ザンデルリング、デイヴィッド・ロバートソン、シェルドン・モルゲンシュテルンらと共演している。ウィグモア・ホール、ナポリのサン・カルロ劇場、ベルリンのフィルハーモニー、ウィーンのムジークフェライン、カーネギー・ホール、パリのシャンゼリゼ劇場などの有名ホールで演奏する一方で、エチオピアのアディス・アベバ音楽学校、ブラジルのマナウス劇場、ベトナムのハノイ大劇場、フィリピンのフォンダシオン・ボリパタなど、あまり知られていない場所にも積極的に出向いて演奏活動を行っている。レコーディングも多く、ソニー・クラシカル、デッカ、ハルモニア・ムンディ、ナイーヴ、Aeon、イザイ・レコード、Sonartiへの録音は、フランス国内および国際的にも卓越したものとして高く評価されている。ヴィオラ奏者のミゲル・ダ・シルヴァとの共演で、ハイドンとモーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲全曲をライヴ録音したCDは、決定版ともいえる名盤となっている。パリ国立高等音楽院10年間、弦楽四重奏科の教授として教鞭をとった後、08年よりカリフォルニア大学ロサンジェルス校音楽学部(ハーブ・アルパート音楽学校)でヴァイオリン科の教授、および弦楽アンサンブル/室内楽科の学部長として後進の指導にあたっている。彼は教育者として、自身の知識や技術を若手音楽家たちに伝えることに惜しみない情熱を傾けており、生徒たちと共演する機会も定期的に設けている。14年には、カリドール四重奏団のデビューCDを共同制作した。パリで行われるロン=ティボー国際コンクールやボルドー国際室内楽コンクールなど、数々の権威あるコンクールで定期的に審査員を務めている。94年、フランスの著作権管理団体であるSACEMより、栄誉あるジョルジュ・エネスク賞を授与。99年には、フランス文化省より芸術文化勲章シュヴァリエが与えられた。さらに10年には、パリ市名誉賞(銀メダル)を受賞している。幼少期は、フランスのドゥエーで音楽教育を受ける。14歳でパリ国立高等音楽院に入学し、ジェラール・プーレとジャン=クロード・ペヌティエに師事した。フランスで学んだ後、アメリカのインディアナ大学ブルーミントン校へ進み、そこでジョーゼフ・ギンゴールド、フランコ・グッリ、メナヘム・プレスラー、ヤーノシュ・シュタルケルらのもとで研鑽を積む。その後、ケルンに渡り、アマデウス弦楽四重奏団のもとで学んだ。使用楽器は、ベネチアの謎めいた楽器職人、グレゴリオ・アント二アッツィが18世紀に制作したヴァイオリンである。 |