王子ホールマガジン 連載
クラシック・リスナーに贈る
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王子ホールマガジン Vol.41 より |
「ライヴ!」カーラ・ブレイ カーラ・ブレイ(org,p) マイク・マントラー(tp) 1981年8月19~21日 |
みなさんがこの号を手に取られる頃はもう終わっているかもしれませんが……「あまちゃん」、おもしろかったですね。僕も毎朝その日最初の放送を観て、1日を乗り切るエネルギーを充電させてもらっていました。音楽もよかった。特にオープニング・テーマ! 担当した大友良英さんは「半年間飽きずにきいてもらえるみそ汁のような曲をめざした」とおっしゃっていますが、いやいやいや、飽きるどころか、このテーマ曲を含むサントラ盤は、朝ドラとしては初のオリコン・トップ10入りという異例の大ヒットとなったそうです。 カーラ・ブレイは1960年代半ばから活躍している女流作曲家兼バンドリーダー兼キーボード奏者です。父親は教会のオルガニスト。当然幼い頃から音楽は生活の一部として身近にありましたが、しかし彼女、お父さんから基礎的な手ほどきを受けた以外には、アカデミックな音楽教育を受けたことは一切なかったそうです。けれどそのことが幸いしたのでしょう。長じてカーラは、狭いジャズの慣習から解放された、独創性と本質性を兼ね備えた音楽を書き、演奏するようになり、時にはデューク・エリントンやギル・エヴァンスと並び称されるほどの存在となるのです。 そんな自由な音楽観を反映してか、カーラにはデュオからオーケストラまで多彩なフォーマットの作品があり、そのどれもが高い完成度を有しているため1枚を選ぶのがむずかしいのですが、ここでは名盤の誉れ高い「ライヴ!」をご紹介することにしましょう。 |
著者紹介 藤本史昭/1961年生まれ。上智大学文学部国文学科卒。写真家・ジャズ評論家として活動。「ジャズ・ジャパン」誌ディスク・レビュアー。共著・執筆協力に『ブルーノートの名盤』(Gakken)、『菊地成孔セレクション~ロックとフォークのない20世紀』(Gakken)、『ジャズ名盤ベスト1000』(学研M文庫)などがある。王子ホールの舞台写真の多くは氏の撮影によるもの。 |
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