王子ホールマガジン 連載
ぶらっとの顔 Vol.1
鈴木康浩
王子ホールマガジン Vol.43 より 2003年にスタートしたランチタイム・シリーズ、「銀座ぶらっとコンサート」。すでに10年を経過し、通算公演数も80回を超えました。ここではこの名物シリーズのお馴染みの「顔」をご紹介します。まず登場するのは、『お昼の名曲サロン』で毎回聴き応え十分の室内楽を届けてくれる鈴木康浩。 |
鈴木康浩(ヴィオラ) 5歳よりヴァイオリンを始める。桐朋女子高等学校音楽科(共学)を経て桐朋学園大学卒業。卒業後ヴィオラに転向。読売新聞社新人演奏会出演。第47回全日本学生音楽コンクール東京大会高校の部第1位。第9回クラシックコンクール全国大会ヴィオラ部門第2位(1位なし)。第2回淡路島しずかホールヴィオラコンクール第2位。第12回宝塚ヴェガコンクール弦楽部門第1位。2001年よりドイツのカラヤン・アカデミーで研鑽を積んだ後ベルリン・フィルの契約団員となり、04年秋帰国。現在読売日本交響楽団ソロ・ヴィオラ奏者を務めている。 |
Q 2004年から継続的に「MAROワールド」に出演していただいていますが、『お昼の名曲サロン』シリーズをやるようになって既に5年が経ちました。 鈴木康浩(以下「やす」) 最初はホールの星野プロデューサーから「やってみたら?」と声をかけていただきました。はじめはこんなシリーズになるとも思わずに、ひとつ企画をやらせてもらえる、気心の知れた仲間と面白いことができる――ぐらいの感覚でした。それから5年、よく毎年続けさせてもらってるなと思います(笑)。 |
Q それだけやりたいプログラム、できるプログラムがたくさんあるということですよね。 やす ヴィオラが企画できる機会ってあんまりないんですよ。たいていヴァイオリンとかチェロの方がプログラムを考えて、「ヴィオラが足りないからお願い」と声をかけてもらうんです。なので自分から提案できるケースは多くはない。でもいざ自分から進んでプログラムを考えるようになると、やりたいことがどんどん出てくるんです。なかでも管楽器と一緒に室内楽をやる機会は絶対的に少ないので、いろいろやりたいですね。 |
Q 名曲サロンといっても、なかなか珍しい曲が演奏されますよね? やす おっしゃる通りです。でもだいたいね、ヴィオラの人に「名曲」と言われてもそうそう出てこないわけですよ(笑)。だからこれから名曲として広まってくれればいいな、という知られざる作品を紹介していきたいですね。 |
Q スケジュールがたてこんでいる時期であっても、「僕はもう楽しいだけだから」と言って嬉々として演奏している姿が印象的です。 やす 確かに肉体的にしんどいときはあるけれども、この企画に関しては一度も苦しいと思ったことはないですね。室内楽は自分にとってライフワークでもあるし、好きなんですよ。自分でも自分がイキイキしているのがよくわかります。オーケストラをやっていると、自分が首席奏者として、その仕事をしなければいけない。ある程度自分の役割を考えて仕事をしなければならないんです。王子ホールで室内楽のシリーズをやるときは、気心の知れている人と共演するので、自分がフリーになれる割合が多いんですね。そうすると自分が表現できることも多くなる。今回(2014年1月)は初めてヴィオラ四重奏をやりましたが、「こんなに遊べるんだ!」と思いましたね。 |
Q 今後の『名曲サロン』についてですが、まだまだ発掘できそうな曲はありますか? やす やれることはまだたくさんあります。これまで国別であったり作曲家別であったり、あるいは楽器にスポットをあてたりとか、いろいろなテーマでやってきました。そういったテーマもまだまだあります。たとえば……「昼から交響曲」とかどうですか!? |
Q ではこの先、活きのいい若い演奏家に「伝統のムチャぶり」が出ることも? やす ええ、こっちもそれで鍛えられてきたので!(笑) (文・構成:柴田泰正 写真:横田敦史) |
【公演情報】 2014年6月30日(月) 13:30開演(13:00開場) |
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