大萩康司 一問一答
王子ホールマガジン Vol.30 より 2011年6月、有能な若手演奏家をフィーチャーする新たなシリーズ「transit」がスタートします。第1回公演に登場するのはボルドーとロンドンの2つの弦楽四重奏コンクールを制したロシアのグループ、アトリウム弦楽四重奏団と、デビュー10年を経て充実の時を迎えているギタリスト、大萩康司。今回の共演について、そして今後の展望について大萩さんに話を伺いました―― |
(c)ビクターエンタテインメント(株) 大萩康司(ギター) 宮崎県生まれ。8歳よりギターを始め、高校卒業後に渡仏、パリのエコール・ノルマルを経てパリ国立高等音楽院で学ぶ。1998年ハバナ国際ギター・コンクールにて第2位及び審査員特別賞を受賞。これまでに多数のCD、DVDをリリースし、国内外で活動を展開。レパートリーも多彩でジャズギタリストやバレエ団とのコラボレーションも行っている。2000年CDデビュー。04年第6回ホテルオークラ音楽賞、07年度第18回出光音楽賞を受賞。 |
Q クラシックに限らず様々なジャンルのアーティストと共演されている大萩さんですが、今回はいわば『王道』ともいえる弦楽四重奏との共演です。こうしたクラシック室内楽の楽しさ、難しさはそれぞれどのあたりにあるとお考えですか? 大萩康司 一対一での室内楽でもそうですが、大切なのは、それぞれが何を考え、どのように演奏したいかをお互いに理解することではないかと考えています。コミュニケーションが取れて、それぞれの準備が十分にできていれば、室内楽はどんどん楽しいものになりますし、その時点で難しさは解消されているでしょう。 Q 今回アトリウム弦楽四重奏団と共演するにあたって、何を楽しみにしていらっしゃいますか? 大萩康司 できれば客席でひとりの客として、彼らの演奏をじっくり聴きたいです。しかし今回は舞台で彼らに挟まれるかたちで聴くことになるわけですから、それだけでも楽しみです。 Q 今回演奏するプログラムについて、ソロ曲、五重奏曲それぞれの魅力を教えてください。 大萩康司 アトリウム弦楽四重奏団のプログラムがロシアの作曲家で構成されているので、それではギターの入る第1部には、そのロシアから影響を受けたキューバの作曲家、レオ・ブローウェルに焦点を絞って、彼の作曲初期のギター五重奏曲からから比較的現在までの曲を選び、プログラミングしました。 Q 初のベストアルバムをリリースするなどデビュー10周年を経て充実した活動をされていますが、これからも大事にしたい活動、そしてこれから新たに開拓したい分野を教えてください。 大萩康司 新しいアルバムには、3人の作曲家に新曲を委嘱したものを録音しています。クラシックギターは、19世紀から近いかたちの楽器はありましたが、一回り大きい今の形になって未だ百年と少しです。既存のギター曲、編曲ものを伝えていく事はもちろんですが、新しい作曲家との出会いを大切に、これから後に受け継いでいく音楽も1年に1曲ずつでも新しく紹介していけたらと思っています。 (文・構成:柴田泰正 写真提供:ビクターエンタテインメント(株) 協力:テレビマンユニオン) |
MESSAGE 大地震の日。 時が経過して、その全容が少しずつ見えてくるに従って、 3月11日から、様々なことが頭の中に浮かんでいました。 自分がそう感じている音楽やそれに関わる出会いが、 今のこの時も心が落ち着かない日々を過ごされていらっしゃる 一刻も、一刻も早く、被災された方々に穏やかな日々が ――4月7日、東京にて 大萩康司 |
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