宮田 大 一問一答
王子ホールマガジン Vol.31 より 日本の若手チェリストの中でもとくに将来が嘱望されているのがこの人。ロストロポーヴィチ国際チェロコンクールでの優勝に続き、昨年は出光音楽賞も受賞した宮田 大。王子ホールでは「MAROワールド」にたびたび出演し、堂々とした演奏を披露してくれました。その彼がじっくりと自分の音楽を開拓していくシリーズ公演、“大ism”がスタートします。記念すべき第1回公演に先立ち話を伺いました―― |
宮田 大(チェロ) 1986年生まれ。3歳よりチェロを始める。9歳の頃より数々のコンクールを制覇し、2004年、第6回全日本ビバホールチェロコンクール第1位、05年、第74回日本音楽コンクールチェロ部門第1位、そして09年第9回ロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで日本人として初の優勝という快挙を成し遂げる。国内の主要オーケストラとの共演、音楽祭への出演を重ねる一方、リサイタルや室内楽にも取り組み、ジュピター・カルテット・ジャパン、CHE TRIOで活動し、数々の名門カルテットに指導を受ける。音楽祭への出演も多数。09年にジュネーヴ音楽院を卒業、現在クロンベルク・アカデミーにてフランス・ヘルマーソンに師事。10年第20回出光音楽賞を受賞。 |
Q 2011年からはじまる王子ホールでのシリーズ公演、第1回はチェロとの組み合わせが比較的珍しいギターとの共演ですが、これを選んだ理由をお聞かせください。 宮田 大 私のとても興味のある楽器と一緒に演奏をしたく、この組み合わせを選ばせていただきました。ギターはチェロとの相性がとてもよいのですが、共演できる場所が少ないためこの機会にぜひと思いました。チェロはピアノやヴァイオリンなどとよく共演しますが、擦弦楽器奏者やピアノ奏者とはまた違うアプローチの演奏会の作り方や音楽への思いを経験したいと思い、このような企画を提案させていただきました。 Q 7月に共演するいちむじんとは桐朋学園の先輩・後輩にあたるとのこと。彼らの演奏についてどう思われるか、また共演を考えるようになったきっかけを教えてください。 宮田 大 私はこの演奏会を依頼される前に偶然銀座でいちむじんの山下さんにお会いしました。彼が私に話しかけてきてくれて、ぜひ機会があれば一緒にやりましょうと意気投合しました。それがきっかけで私の気持ちにも火がつき、いちむじんとの共演にいたりました。いちむじんは桐朋時代に先輩と後輩の関係でしたが、それまで面識はありませんでした。私のチェロ科の友達がいちむじんと共演をしていることはよく耳にしていましたので、大変羨ましい気持ちでいました。ですから今回の演奏会は、待ちに待った共演なのでとても楽しみです。共演させていただけてとっても感謝しております。 Q 7月公演のプログラムについて、どのような曲をどのような理由から決めたかお聞かせください。 宮田 大 プログラムはチェロとギターの魅力が存分にひき出る曲を選びたいと言う気持ちで選曲しました。たくさんやりたい曲があったのですが、既存の曲にはギター1本とチェロの組み合わせが多く、なかなか選曲が大変でした。せっかくの機会ですので2本のギターが同じメロディーを弾かないようにしました。いちむじんのオリジナルの曲を3人で共演したり、彼ら自身にオリジナル曲を演奏していただいたり、カサドの無伴奏チェロ組曲から第3楽章をとりあげ、スペインの情景を彷彿させる曲を自分が演奏します。シューベルトの《アルペジョーネ・ソナタ》は今回のために2本のギターとチェロのために編曲をお願いしました。新しい試みなので皆様に楽しんでいただけるように努めます。 Q この先の「大ism」でどのようなアーティストとどのようなプログラムを演奏したいかなど、今後の展望についてお話しください。 宮田 大 第2回もチェロと別ジャンルのコラボレーションを考えています。アコーディオンとかパントマイムとか、まだ思案の段階ですが、これらの組み合わせの意外な一面が見られるような演奏会を開いていきたいです。あくまでもチェロだけではなく、どちらも主役で、どちらの良さも出るような演奏会にしたいと思います。 (文・構成:柴田泰正 協力:国際音楽交流研究所) |
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