王子ホールマガジン 連載
ぶらっとの顔 Vol.2
宮田 大
王子ホールマガジン Vol.44 より 毎回ご好評をいただいているランチタイム・シリーズ、「銀座ぶらっとコンサート」。歌手や作曲家、器楽奏者など様々なアーティストがホストとなってシリーズを展開していますが、そのなかでも一番若いのがこの人。とはいえ初めて王子ホールの舞台で演奏したのはもう8年も前のことなので、やはりお馴染みの「顔」としてご紹介してもよいでしょう―― |
宮田 大(チェロ) 1986年宇都宮生まれ。音楽教師の両親のもと3歳よりチェロを始める。9歳より出場するコンクールすべてに第1位入賞を果たし、2009年には第9回ロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで日本人として初優勝。10年に第20回出光音楽賞、12年にホテルオークラ音楽賞を受賞。桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースを首席で卒業し、09年にジュネーヴ音楽院卒業、13年6月にクロンベルク・アカデミー修了。日本を代表する多くの演奏家と共演し、国内外の音楽祭への参加やソロ活動も活発。11年にアルバム「FIRST」をリリース。マスメディアへの露出も多く、現在最も注目を集めている若手チェリストといえる。 オフィシャルサイト: http://daimiyata.com |
Q 初めて王子ホールに登場したのは2006年9月のMAROワールド Vol.5 “ドヴォルザーク”の回でした。当時はまだ大学に通い始めたぐらいだったかと思いますが、その後も何度かMAROワールドに出演し、まろ(篠崎史紀)さんのムチャ振りにも見事に応えていました。「ぶらっとコンサート」で『大ism』シリーズをお願いすることになったのは2011年からですね。 宮田 大(以下「宮田」) 星野プロデューサーに「シリーズをやらないか」と声をかけていただいた時点で、すでにやりたいことはたくさんありました。王子ホールは細かなニュアンスまでちゃんと伝えられる空間なので、この先もいろいろなアイディアを実現していきたいです。 |
Q これまではたとえばまろさんが中心にいて、それに応えていけばよかったわけですけれど、『大ism』は自分がホストとなって展開しなければなりません。勝手が違って戸惑ったことなどありましたか? 宮田 確かにペースをつかむのは難しかったですね。でもある部分で、『失敗しても大丈夫かな』という気持ちで臨みました(笑)。トークで多少つまづいたとしても、最終的にしっかり演奏して、音楽をお届けできればいいという意識だったんです。 |
Q では最初からわりとのびのびやれたと? 宮田 そうですね。たぶんもともとそういう性格なんでしょうね(笑)。Vol.1のいちむじんのお二人をはじめ、共演者がトークの達者な方たちなので助かりました。演奏する曲についての補足をしつつ、聴いていらっしゃる皆さんの肩がほぐれるような内容のトークを心がけています。 |
Q プログラムも毎回工夫をこらしていますが、『産みの苦しみ』はありますか? 宮田 通常のリサイタル形式であれば一番ラクなのでしょうけど、どうしても王子ホールでしかできないプログラムを作りたい。そうなるとアイディアを煮詰めていくのに時間が必要だし、楽譜になっていない作品を弾こうとする場合などは、新たにオリジナルの編曲をする必要が出てきたりします。そうやって準備に時間をかけていると、いつの間にかプログラム決定の期限が迫っていたりして……ご迷惑をおかけしています(笑)。 |
Q 『大ism』はこれまで5回にわたってやってきましたけれど、振り返ってみていかがですか? 宮田 毎回違った楽器と共演することで、自分の中でチェロの音色を拡げられるような、新しいアイディアを得られますね。今回(2014年2月)はピアノの田村 響さんとの共演でしたが、ファジル・サイの作品では内部奏法が出てきました。そこでまた新しいピアノの音に触れることができて、勉強になりました。三浦一馬さんとの共演も印象に残っています。バンドネオンは横から音が出てくるんですけど、横に並んで座っていると片側の音しか聴こえないんですね。だから合わせるのが大変でキツかった(笑)。けれども楽器同士の相性は意外といいな、とも感じました。 |
Q この先についてはいかがですか? 宮田 たとえば、マリオネットやコンテンポラリー・ダンスと無伴奏チェロと組み合わせてみたりとか……ということをいろいろと考えています。 |
Q ダンスなどの公演に足を運ぶことは多いんですか? 宮田 音楽以外にもいろいろな舞台を観ています。そのうえでたとえばタップダンスや和太鼓などは、チェロと合わせるのは難しそうだなと感じたり……将来的にどういった方と共演するかはまだ未知数ですけれど、共演することで自分の音のボキャブラリーが増えていくようにしたいですね。 (文・構成:柴田泰正 写真:横田敦史 協力:国際音楽交流研究所) |
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