ojihall


Topics  トピックス

電話インタビュー ナレク・アフナジャリャン

今年の秋、来日する注目のチェリスト、ナレク・アフナジャリャン。チャイコフスキー国際コンクールで優勝して以来、世界のマエストロ、オーケストラと共演を重ね、各地でリサイタルを行い、着実に音楽家の道を歩んでいます。秋からのコンサートシーズンを前に、しばしの休息を楽しんでいるアフナジャリャンが、快く電話インタビューに応じてくれました。

Q 音楽家を志した年齢は?

アフナジャリャン 最初は両親の希望で音楽を始めました。初めて音楽学校に連れていかれたのは6歳の時でした。 それから数年、毎日毎日スケールの練習……いやでしたね~。正直、つまらなかった。11歳の時、母とモスクワへ移りその後です、チェロを好きだ、と感じ始めたのは。僕はこの道を進んでいくんだ、音楽を志すんだ、これが僕の人生なんだ、と徐々に意識するようになったと思います。

Q あなたは、どんな子供でしたか?

アフナジャリャン 聞き分けのないやんちゃな子供でした。僕は音楽一家に生まれました。父はヴァイオリン奏者で、アルメニアの有名なアンサンブル「コミタス弦楽四重奏」で24年間活動し、その後モスクワに移ってモスク音楽院で教鞭をとりました。母はピアニストです。

Q ご兄弟は?

アフナジャリャン 兄が2人います。長兄は15歳上、次兄も10歳上です。それだけ年が離れていたこともあり、末っ子の僕は家の中で自由奔放でした!次兄の方は指揮者になり、今、ハバロフスクのオーケストラの首席指揮者です。ドヴォルザークのチェロ協奏曲を、兄と共演したこともあります。兄だから、ということもあるのでしょうか、とてものびのびと自分らしい演奏ができ、すごく楽しかったのを覚えています。兄との共演は、とても楽しい!いつか、チェロのアフナジャリャンと指揮者のアフナジャリャン、ダブル・アフナジャリャンで、日本で演奏してみたいです!!

Q 音楽家になっていなかったら、何をしていたでしょう?

アフナジャリャン 考えたことないなあ……。スポーツが好きだから、サッカーとかテニスに夢中になっていたかもしれません。サッカーを観るのは大好きです。

Q 好きなチームは?

アフナジャリャン マンチェスター・ユナイテッド(イギリス、プレミアリーグの覇者)です。

Q 日本人プレーヤーがいますよ!

アフナジャリャン 知っています!カガワでしょ!素晴らしい選手だよね!

Q ずばり、好きな言葉は?

アフナジャリャン 誠実(正直)。

Q 今一番ほしいものは?

アフナジャリャン 今はモスクワとウィーンと半々の生活をしていますが、どこか落ち着ける定住地がほしいです。どこかに家を買って落ち着きたいですね。仕事面では、素晴らしい指揮者やオーケストラと、もっともっと共演する機会。すでに世界の有名なオーケストラ、たとえばシカゴ交響楽団やロンドン交響楽団などと共演する機会に恵まれましたが、もっと欲張りになって、ベルリン・フィルやウィーン・フィル、指揮者ではバレンボイムやアバドとか……とも共演したいです。

Q 一日の睡眠時間は?

アフナジャリャン マエストロ・ゲルギエフよりは多いです(笑)

Q それ、答えになっていません!

アフナジャリャン やっぱり!(笑)コンサートが終わって、パーティーや食事会などがあり、夜中の1時にホテルに帰るとするでしょう?それで翌朝5時には出発しなければならない……そんな時は、寝ないで徹夜します。朝フラフラで起きるよりも、そのほうが楽だと思うから。でもオフが続くよう時は、一日7、8時間ぶっ通しで寝ることもありますよ!

Q おすすめの旅先は?

アフナジャリャン お世辞ではなく、日本です。日本、大好き!文化も人も、もちろん日本食も、全部好きです!日本に行く1週間前からそわそわし始めるほどです。日本の聴衆の皆さんは、とても文化的、知識があって、良いものとそうでないものを聴き分けることができる、とても洗練された方々です。そんな聴衆の前で弾くことは、とても興奮します!

Q 今度は何回目の来日になるのでしょうか?

アフナジャリャン 5回目でしょうか?最初は倉敷の音楽祭に参加した時です。2004年だったと思います。その時は、とにかく街の清潔さに驚きました。裸足で街を歩けるほど。あたたかい人たち、町の趣にも虜になりました。そうそう、倉敷でマクドナルドに入った時、BGMでベートーベンが流れていたんです!あれは驚きでした!初来日で、僕はすっかり日本が気に入りました。その後シャネルのコンサートで来日して、2011年チャイコフスキー国際コンクールの直後のガラ公演、それから2012年の春に全国を回ったツアーです。日本以外のおすすめの国は、イタリアです。それから南仏も。6月にモンペリエの音楽祭に出演し、1週間南フランスの各都市を回ったのですが、素晴らしい場所でした。

Q 音楽の持つ力は?

アフナジャリャン 音楽には、人の心を治癒する力があります。僕自身、何回もこの目で、この耳で確認しました。演奏会で大きな元気をもらった、という声をよく聞きます。たった1時間半の音楽で、長い間抜け出さなかった鬱状態から解放されたり、励まされたり。演奏家として、そういう言葉を聞くとは何よりの励みになります。音楽は人間にとって、空気と同じようになくてはならないもの。なくては生きていけないものだと、僕は信じます。そして世界中を結びつけるユニバーサルな言葉。どんな感情も伝えられる、宗教や国のシステム、主義を超える世界共通言語だと思います。

(2013年8月22日 ジャパン・アーツ )

>>ページトップに戻る