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Concert  コンサート情報

ミシェル・ダルベルト

2011年1025日(火) 19:00開演

全席指定 7,000

完売


(c)Jean Phillippe Raibaud

ミシェル・ダルベルト(ピアノ)

MESSAGE

 

新しいコンサートのプログラムを練るときはいつも、作曲家や作品同士の隠れたつながりを意識しています。今回、この王子ホールでのリサイタルのプログラムを考えたとき、フランクの《プレリュード、アリアと終曲》がまず頭に浮かびました。私がパリ高等音楽院で師事したヴラド・ペルルミューテルは、彼の師である故アルフレッド・コルトーと同じく、フランクの《前奏曲 アリアと終曲》と《前奏曲 コラールとフーガ》の2作品が大好きで、これらの作品を生徒に指導することを非常に楽しんでいました。私にも、これらの作品を勉強していた頃の授業中の思い出が数多くあります。《前奏曲 アリアと終曲》がフランクの最後のピアノ曲であったのに対し、ベートーヴェンのソナタ第4番は、彼のピアノソナタの中ではごく初期の作品です。この2人の作曲家の間には約90年の隔たりがありますが、2人の音楽性には非常に似ているところが多い。フランクの弟子たちが彼を「新しいベートーヴェン」と呼んだのも、そのせいかもしれません。一方、フランクの《前奏曲 アリアと終曲》とドビュッシーの《映像・第1集》の間には25年しか隔たりがありませんが、フランクの作品がトナリティ(調性)と19世紀の音楽との決別を表しているかのようであるのに対し、ドビュッシーの《映像》には明らかに、音楽の新時代への明るい朝の挨拶といった印象があります。
コンサートでは、ぜひ皆様に、私と一緒にこれらの作品を楽しんでいただきたいと思っています。

―― ミシェル・ダルベルト

プログラム

フランク:前奏曲、アリアと終曲
ドビュッシー:映像 第1集
       水に映る影/ラモーをたたえて/運動
      :子供の領分
       グラドゥス・アド・パルナッスム博士/ジャンボの子守歌/人形のセレナード/
       雪は踊る/小さな羊飼い/ゴリウォッグのケークウォーク

********** 休憩 **********

ドビュッシー:映像 第2集
       葉末を渡る鐘の音/そして月は荒れた寺院に落ちる/金色の魚
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第4番 変ホ長調 Op.7

プロフィール

(c)Jean Phillippe Raibaud

ミシェル・ダルベルト(ピアノ)

パリ生まれ。3歳半でピアノを始め、12歳の時にアルフレッド・コルトーの愛弟子ヴラド・ペルルミュテールに紹介され、68年パリ国立高等音楽院のペルルミュテールのクラスに入学、9年後卒業。75年のクララ・ハスキル・ピアノ・コンクールで優勝。3年後、リーズ国際ピアノ・コンクールで優勝し、また、最初の録音であるシューベルトの2つのソナタがアカデミー・シャルル・クロ・グランプリを受賞した。これまでに、エーリヒ・ラインスドルフ/パリ管弦楽団、サー・コリン・デイヴィス/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ヴォルフガング・サヴァリッシュ/スイス・ロマンド管弦楽団、クルト・マズア、レナード・スラトキン/フランス国立管弦楽団、エリアフ・インバル/ウィーン交響楽団、(旧)ケルン放送交響楽団、アンドリュー・デーヴィス/ロンドン・フィル、シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団、マンフレッド・ホーネック/オスロ・フィル、ユーリ・テミルカーノフ/サンタチェチーリア管弦楽団のほか、マレク・ヤノフスキ、ギュンター・ヘルビッヒ、ネーメ・ヤルヴィ、ジョゼフ・スヴェンセン、フランツ=ポール・デッカー、ハンス・フォンク、ドミトリ・シトコヴェツキー、ジョン・ネルソン、ぺトル・アルトリヒテル、ルドルフ・バルシャイ等の指揮で共演している。またルツェルン、モントルー、エディンバラ、ウィーン、エクサン・プロヴァンス、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン、モントリオール、シアトルなどの音楽祭に客演している。「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」でも、メイン・ゲストの1人として来日する。デビュー当時より、ダルベルトは、シューベルト、モーツァルトの解釈には定評があり、その他リスト、ドビュッシー、フォーレ、ラヴェルの演奏も、高く評価されている。ピアニストとして、デビュー以来レコーディングに非常に積極的である。グリーグのピアノ協奏曲やシュトラウスの「ブルレスケ」をポミエ指揮フィルハーモニア管と、シューマンのピアノ協奏曲のライブ演奏をウィーン音楽祭でインバル指揮と、また、バーバラ・ヘンドリックスとのフォーレの歌曲集や、ジェシー・ノーマンとのショーソンの歌曲集などがある。中でも特に、DENONに録音したシューベルトのピアノ作品全集の14枚組のCDが顕著である。現在はBMGに幅広いレパートリーを録音しており、最初のドビュッシーの前奏曲集は雑誌「ル・モンド・ドゥ・ラ・ミュジーク」で特選盤に選ばれ、またジョン・ネルソン指揮パリ室内管弦楽団とモーツァルトのコンチェルト第20番、第22番も録音している。2004年リリースの「リゴレット-リスト編曲~ヴェルディ、ワーグナー/トランスクリプション」は、グラモフォン、ディアパソン、クラシックFMなど各誌で絶賛され、売行きも同夏のトップを記録した。08年新進チェロ奏者アンリ・デュマルケとブラームスのソナタ集を録音し、好評を得た。ソリストとしての他に、ダルベルトは室内楽奏者としても際立った存在である。ヘンリク・シェリングとベートーヴェンのソナタ全曲演奏会、ニキタ・マガロフと2台ピアノ演奏会を行なったほか、ボリス・ベルキン、ドミトリ・シトコヴェツキー、リン・ハレル、トルルス・モルク、ルノー・カプソン、ゴーティエ・カプソン、ニコライ・ズナイダー、ユーリ・バシュメット、アンリ・デュマルケ等と共演する。91年から09年までクララ・ハスキル国際コンクールの審査委員長を務め、また名門イタリアのイモラ音楽院でも後進の指導にあたってきた。96年にはフランス政府から国家功労勲章を授与された。日本では、NHK交響楽団や東京都交響楽団と共演し、絶賛される。06年放映のNHKテレビ「スーパーピアノレッスン」では講師を務め、エスプリに富んだ演奏を披露した(08年4月~7月、NHK再放送)。