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Concert  コンサート情報

東京クヮルテットの室内楽 Vol.6 with 清水直子
モーツァルト弦楽五重奏曲全曲演奏会

2011年
7
7日(木) 19:00開演 78日(金) 19:00開演

全席指定 各日6,500円、2公演セット券12,000

完売
マーティン・ビーヴァー(第1ヴァイオリン)
池田菊衛(第2ヴァイオリン)
磯村和英(ヴィオラ)
クライヴ・グリーンスミス(チェロ)

清水直子(ヴィオラ)

次なるステージを始動させた東京クヮルテットの室内楽シリーズは、これから2年に亘ってヴィオラの清水直子を迎え、弦楽五重奏の世界をお贈りします。2011年第6回は、モーツァルト弦楽五重奏曲全曲演奏会の2夜。深遠なる晩年モーツァルトの世界を心ゆくまで堪能できる公演となるでしょう。

 

MESSAGE

 

よく人に一番好きな音楽は何ですか?と聞かれる事があります。一番と言われてもちょっと困るのですが、何百とある室内楽の名曲の中でもモーツァルトのヴィオラクィンテットは絶対に欠かせないと答えます。小林秀夫が「悲しみの疾走」と表した交響曲四十番ト短調を連想させるようなK516、ヴァイオリンとヴィオラの愛のデュエットが美しいハ長調K515のアンダンテ。そして僕がそこを演奏するたびにいつでも鳥肌が立つニ長調K593のアダージオの数小節。時間にするとたった1分か2分とかですが、チラッと高いカーテンの隙間の上を覗いてみたら、無限の宇宙が広がっているのが見えた。弾いていて時空のねじれに吸い込まれるような不思議な感覚におちいるのです。
以前、内田光子さんとモーツァルトがもう少し長生きしていたらどんな作品を書いただろうね?という話をした時に、内田さんはきっともっともっと不協和音の音楽を書いていたでしょうね、と答えてくれました。、亡くなる前年に書かれたK593のこの数小節は、ひょっとするとモーツァルトの新境地への第一歩だったのかもしれません。

――池田菊衛

 

開演前のひととき、ホール全体の音がまるでブラックホールに吸い込まれる光のように、すっと消えてなくなる瞬間があります。皆が全身を耳にして待つ一瞬。1つの個体であるquartetに加わって5重奏を演奏する時、私も全集中力をもってそのquartetの世界に耳を傾けます。4+1が、5割る5=1になった時、また新たな世界が広がるような感動があります。Tokyo String Quartetとご一緒させていただく時はいつも、尊敬する音楽家と時間や空間を共有できる嬉しさに加えて、人間として敬愛する人たちとの再会という、かけがいのない喜びが加わります。この夏が楽しみです。

――清水直子

プログラム

<第1夜 7/7>

モーツァルト:弦楽五重奏曲 第3番 ハ長調 K515
      :弦楽五重奏曲 第2番 ハ短調 K406 (516b)

********** 休憩 **********

モーツァルト:弦楽五重奏曲 第5番 ニ長調 K593

<第2夜 7/8>

モーツァルト:弦楽五重奏曲 第1番 変ロ長調 K174
      :弦楽五重奏曲 第4番 ト短調 K516

********** 休憩 **********

モーツァルト:弦楽五重奏曲 第6番 変ホ長調 K614

プロフィール

東京クヮルテット

東京クヮルテットの起源は桐朋学園まで遡る。斎藤秀雄の薫陶を受けた当時の創立メンバーがそれぞれの室内楽への深い思いを胸に渡米し、1969年、ニューヨークのジュリアード音楽院で結成。その翌年ミュンヘン国際コンクールで優勝し、以来35年を経てメンバー交代をしながらも世界最高峰の弦楽四重奏団として人々を魅了し続けている。現在のメンバーになったのは2002年から。地元ニューヨーク「92丁目Y」やスペインのマドリードでは、室内楽の魅力を多角的に伝えるシリーズ・コンサートを続けている。メンバーは、76年以降レジデンス・カルテットとしてイエール大学音楽院に勤めている。授業のある期間はイエールで、夏は名門ノーフォーク室内楽音楽祭で多くの時間を教育に捧げており、北米、ヨーロッパ、アジアでも定期的にマスタークラスを開催している。ドイツ・グラモフォンとの専属契約で世界の主要なカルテットの1つとして確固たる地位を確立。そして、BMG/RCA、EMI、CBS、VoxBox、Biddulphを通してリリースされた録音は、30を超える。ハルモニア・ムンディから発売になったブラームス「クラリネット五重奏曲」が多くの称賛を得、このリリースに続いて同社のマルチ・レコード・プロジェクトの一環としてベートーヴェン・チクルスの録音を完成させた。95年より日本音楽財団から「パガニーニ・クヮルテット」というセットを貸与されている。

マーティン・ビーヴァー(第1ヴァイオリン)

2002年より第1ヴァイオリンとして加わった。トロント王立音楽院でヴィクトル・ダチェンコ、ヘンリク・シェリング、ジョゼフ・ギンゴールドに師事。その後、トロント弦楽四重奏団およびトリスケリオンの創設メンバーになる。ラヴィニアのライジング・スター・シリーズ、シアトル室内楽フェスティバル、ボストン室内楽協会などで高評を博す。ソリストとして、サンフランシスコ交響楽団、ベルギー国立管弦楽団など世界各地のオーケストラとの共演、リサイタル活動も行っている。これまでボルティモアのジョン・ホプキンス大学のピーボディー音楽院の教授を務めたほか、各地でマスタークラスも開いている。

池田菊衛(第2ヴァイオリン)

桐朋学園大学に於いてヴァイオリンを鷲見三郎、ジョセフ・ジンゴールド、室内楽を斎藤秀雄に師事。読売日本交響楽団、東京都交響楽団、東京交響楽団とソリストとして共演。桐朋ストリング・オーケストラのコンサートマスターとしてヨーロッパ公演に参加。1971年に渡米。ジュリアード音楽院でドロシー・ディレイとジュリアード弦楽四重奏団に師事。日本音楽コンクール、ワシントンD.C.でのワシントン弦楽器コンクール、ポルトガルでのヴェエナ・ダ・モッタ・コンクールで優勝し、イタリア、ニューヨーク、東京で何度もリサイタルを行い数多くのアンサンブルと室内楽を演奏している。

磯村和英(ヴィオラ)

桐朋学園高校にてJeanne Isnard、小林健次、斎藤秀雄に師事。渡米後ナッシュビル交響楽団の副コンサートマスターに就任。しかし、室内楽とヴァイオリンへの情熱に駆られジュリアード音楽院に入学。全額給費奨学生として、イヴァン・ガラミアンとポール・マカノウィッキーに師事。室内楽をロバート・マン及びラファエル・ヒリヤー、ヴィオラをワルター・トランプラーに師事。東京クヮルテットの創立メンバーであり、Music Masters/Musical Heritage Societyでヴィオラ・ソロ、ソナタのCDもリリースされた。

クライヴ・グリーンスミス(チェロ)

1999年6月、創設メンバーの原田禎夫の後任として東京クヮルテットに加わる。イギリス、マンチェスターのロイヤル・ノーザン音楽カレッジを卒業後、ロンドンのロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団の首席チェリストを務める傍らフィルハーモニア管弦楽団やイギリス室内管弦楽団の客演き首席チェリストとして活躍。セルジオ・ロレンジ・コンクールで優勝、「第1回プレミオ・ストラディヴァリ」で2位に入賞。アンドラーシュ・シフ、ブルーノ・カニノ、五嶋みどり等著名アーティストと共演。これまでサンフランシスコ音楽院教授も務めた。2009年9月よりマンハッタン音楽院の教授陣に加わる。

清水直子(ヴィオラ)

1997年ミュンヘン国際音楽コンクール・ヴィオラ部門にて、ユーリー・バシュメット以来21年ぶりの第1位。95年マルクノイキルヘン国際コンクール優勝。96年ジュネーヴ国際音楽コンクール最高位(1位なし2位)など、数々のコンクールに入賞。桐朋学園大学でヴァイオリンを広瀬悦子、江藤俊哉に、ヴィオラを岡田伸夫に師事。93年ヴィオラに転科し研究科修了。94年よりドイツ・デトモルト音楽大学で今井信子に師事。ソリストとして国内の主要なオーケストラの他、スイス・ロマンド管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、フランクフルト歌劇場管、ハレ管などと共演を重ねている。北米でも、ニューヨーク、ワシントンDCにてデビューリサイタル、ニューヨークにてコンチェルトデビューを果した他、欧州各地でコンサートを行っており、2001年2月より、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、首席ヴィオラ奏者としても活躍の他、ミュンヘンコンクール入賞者で結成したAURATA QUINTETのメンバーとしても活動を広げている。