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Concert  コンサート情報

ジョセフ・リン

2005年1115日(火) 19:00開演

全席指定 5,000


ジョセフ・リン(ヴァイオリン)
松岡 淳(ピアノ)

ヨーヨー・マや内田光子に絶賛される逸材が、王子ホールに初登場。深い知性、高潔な人柄、伸びやかな歌心によって奏でられる音楽は、人々の心を惹きつけて離しません。今回私たちがぜひ弾いて欲しいと願ったのが、ブラームスの「雨の歌」とバッハの「シャコンヌ」、そしてコルンゴルト。ブラームスの沈潜した内省的な叙情はリンこそがきっとつまびらかにしてくれるでしょう。コルンゴルトはナクソスからのデビュー・アルバム、「コルンゴルト作品集」でファンを魅了した演奏に接する、絶好の機会になります。そして、魂の音楽を聴かせてくれる彼ならではの、心ゆさぶるバッハ。天才的な鋭さと、あたたかさ、誠実さ。ジョセフ・リンの人間力は、そのまま音になって私たちにかけがいのない体験を与えてくれるに違いありません。

 

11月にまた日本で演奏ができることを心から嬉しく思います。日本ではじめてコンサートを開いたときから、自分と客席の皆さんとが深い部分で理解しあえていると感じていました。日本のオーディエンスは他のどんな国の方よりも、音楽に内包された意味と美しさを自然と受けいれてくれるように思います。そのため日本で演奏するときは、いつも最高の満足を得られるのです。

王子ホールでの演奏プログラムは様式的にも性格的にも変化に富んでいます。プログラムの半分はヴァイオリン・ソロの作品。情熱的で力強い「イザイ:ソナタ 第6番」のスペイン風のリズムではじまり、続いて対照的なバッハの「パルティータ 第2番 ニ短調」。この作品では、5つの舞曲楽章がクライマックスの「シャコンヌ」へ向けて果てしない拡がりをみせます。コンサートの後半では松岡淳さんにご一緒していただきます。まずはコルンゴルトのチャーミングで刺激的な後期ロマン派の劇音楽「空騒ぎ」。続いて深みのあるブラームスのソナタ「雨の歌」を演奏します。こうした素晴らしい音楽を日本の皆さんと分かち合う日が待ち遠しいです。

――ジョセフ・リン

プログラム

イザイ:6つの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Op. 27より 第6番 ホ長調
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調 BWV.1004

**********休憩**********

コルンゴルト:ヴァイオリンとピアノのための組曲 「空騒ぎ」 Op. 11
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト長調 「雨の歌」 Op. 78
バッツィーニ:妖精の踊り Op. 25

プロフィール

ジョセフ・リン(ヴァイオリン)

1978年メンフィス生まれ。4歳でヴァイオリンをメアリー・キャンバーグに学び、ジュリアード音楽院プレ・カレッジではシャーリー・ギブンスに師事、96年卒業。引き続きハーバード大学に進学、2000年6月最優等を以て卒業。この間、94年にゼネラル・モータース国際コンチェルト・コンクールのヴァイオリン部門で優勝。96年にはアメリカのコンサート・アーティスト・ギルド国際コンクール優勝、同年アメリカ合衆国大統領芸術奨学生となる。99年、プロ・ミュージシス・インターナショナル・アワードを史上最年少の21歳で受賞、翌年ハーバードからもルイ・サドラー賞を授与される。また、01年マイケル・ヒル国際ヴァイオリン・コンクール優勝。すでに数多くのリサイタル、オーケストラ共演で高い評価を得ており、小沢征爾指揮ボストン交響楽団、キース・ロックハート指揮ボストン・ポップス、ピーター・ウンジャン指揮セント・ルークス管弦楽団、ミゲル・アルス=ベドヤ指揮ロスアンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団、ヨーヨー・マのシルクロード・プロジェクト等で絶賛を博す他、ニューヨークのカーネギー・リサイタルホール、ワシントンD.C.のケネディセンター、ブエノスアイレスのテアトロコロン、パリ、香港等の主要ホール、ラヴィニア、タングルウッド、マールボロ等著名音楽祭に出演している。04年3月にはクリスティアン・アルミンク指揮の新日本フィルハーモニー交響楽団と共演、絶賛を博した。

松岡 淳(ピアノ)

10歳よりピアノを始め、東京藝術大学卒、同大学院修了。1993年よりハンガリー国立リスト音楽院に学ぶ。93年マリア・カナルス国際コンクール名誉ディプロマ、第1回スーパー・クラシック・オーディション第1位各受賞。99年ブラームス国際コンクールで日本人初の優勝を飾る。2003年キエフの現代音楽祭に招かれて絶賛を博し、毎年コンサートに出演するほか、アントニー・ヴィット、飯守泰次郎、梅田俊明、ミクローシュ・ペレーニ等と共演を重ね、国内外で幅広く演奏活動を行っている。ブラームスのスペシャリストとして知られ、2004年からはピアノ作品のチクルスを開始。東京藝術大学非常勤講師。

CD コルンゴルト/ヴァイオリン作品集
ジョセフ・リン(ヴァイオリン)、ベンジャミン・ローブ(ピアノ)
NAXOS 8.557067

コルンゴルトは近年、復活の徴候著しいウィーンの作曲家。昨年のザルツブルク音楽祭でもオペラ、コンチェルト、室内楽コンサートにとりあげられていた。さてリンの演奏であるが、一聴してそのノーブルな音色に魅了される。巨大でいくぶん晦渋なヴァイオリン・ソナタでも極めてパースペクティヴのよい演奏を繰り広げており、後期ロマン派の叙情をみごとに掬い上げている。口当たりのよい組曲「空騒ぎ」はいわずもがな、実演が待ち遠しい。